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第16回 「Content is King?」

今日、全世界で400万を超えるWebサイトが構築され、世界規模のネットワークの上で情報が提供されている。
いまや、インターネットは、一部技術者の道具ではなく、あたかも全世界のWebサイトと接続した「情報の水道」の蛇口として、世界からの情報を家庭の居間までもたらしている。

私の住んでいる豊島区でも、豊島ネットなるCATVサービスが開始され、今日の朝刊にもチラシが入っている。CATVサービスだけではなくインターネット接続も可能なようであり近くに高層マンションができたせいか映りの悪くなったテレビを見ながら、早速申し込もうと考えているところである。月額7000円なにがしの接続料が高いか安いか議論があろうが、我が家で常時インターネット接続できることは便利この上ない。
一方つい先頃、常時利用するノートパソコンも携帯電話も、今はやりのモバイルを実現するべく切り替えたばかりである。
いずれも、ネットワーク接続するために要する費用である。
水道事業に例えれば、これらの費用は蛇口に相当するものであり、水道の配管に相当するものと言えよう。水道に接続するために、私がこの一月に費やした金額は、パソコンを含めて40万円程度にもなろうか?その他、この機にアップグレードしたソフトウエア料金なども私にとってはバカにならない。

だが、こうやって改めて考えて見ると、いささか腑に落ちない点が発生する。すなわち水道の蛇口を整えるのに、結構な金額を費やしているのにも関わらず、その後、インターネット/Webを利用して入手する情報自体がタダであるのはいかがなものか?
あたかも、高価な蛇口から流れ出る水自体が、タダで使い放題のように思われる。
もちろん、パソコンメーカにはお金を支払っているし、CATVサービスにもお金を支払うこととなる。だが、入手する情報そのものにも、また情報を検索するための検索エンジンにも、一円も払っていない。

1利用者として単純に考えれば、水(情報)は安い方がありがたい。しかし「情報」の価値を常日頃標榜している立場で考えると、ネットワークと言う市場の上で、価値ある情報は価値あるなりに、そうではない情報は「それなり」に流通できる機構こそ重要なのではないだろうか?

今回、サブタイトルに借用させて戴いた「Content Is King」とは、www.burnrate.comの最初のアーティクルである。burnrateは、インターネット・ビジネスの内幕本としてベストセラーとなり、日本でも「回転資金」と言うタイトルで翻訳出版されている。その本の著者であるマイケル・ウルフ氏が用意したサイトが、www.burnrate.comであり、その中に「Content Is King(コンテンツこそ王様)」と記述されている。しかし、今はまさしく「裸の王様」の状態にあるように思える。

現在、インターネットの上で、めまぐるしく新しいビジネスが発生しており、あたかも西部劇時代のゴールドラッシュのようである。アメリカン・ドリームを実現すべくスニーカをはいた若者たちが、続々と新たなアイデアをひっさげてインターネット上の金塊を探しまくっている状況にある。
全世界で400万サイトを超え、この一月足らずの間にも約6万も増加しているWebサイトに、従来の「経済メカニズム」を主張すること自体、もはや意味がないことなのかも知れない。
しかし、ネットワーク上の情報が「パソコン・メーカ」や「特定ソフトウエア会社」、「ネットワークプロバイダー」の市場拡大の道具となっているかの如き現状が、どうにも合点がいかないのは私だけだろうか?

一生かかっても、絶対にすべてを見ることができないほどの規模に拡大したWebを対象に、私にとって必要な情報を提供するサイト、情報の検索の便宜を与えるサイト、ファクト(事実)情報を解釈しコメントしてくれるサイト、などなど「情報」を核とするさまざまなサイトがビジネスとして成立してもおかしくないと考えるところである。



執筆  菊田昌弘(前代表取締役)



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